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2006年11月12日 (日)

ゲートルの巻き方

みなさんこんにちは、XM16E1と芥川龍之介をこよなく愛してやまないパカ山です。
このブログも今回がついに100記事目のアニバーサリーでございます。

「多くの人がホームページやブログを始めるのは何故か?」

・・・・そんなこと全くわかんないので今回のネタ「ゲートルの巻き方」にレッツゴー!

700_8これがゲートルです。戦前の人たちは「巻き脚絆(まききゃはん)」と言っていました。祖父は単に「脚絆」と呼んでおりました。実際どう呼べばいいのか分かりませんけど、戦時中はあらゆるものを日本語読みしていた関係上、「タンク」で通っていたものを「戦車」と呼んだように「ゲートル」を「ゲートル」と呼びづらくなったのかもしれません。想像ですけどね。

_1見苦しくてすいません。パカ山の足です。
誇下(こした)と靴下の上に脚絆を巻きますね。(実際は編上靴の上から巻き始めますので注意して下さい。室内なので編上靴を履いていない事をご容赦願います。)
写真は右足です。脚絆は内側から巻きますので右足は右巻きです。まずは靴の上からきつめに巻きます。 
 

_2そのままややきつめにふた周り程巻きます。
ゲートルの巻き方のコツは、きつめに巻く所と緩めるところを知る事です。足首を保護し血液の降下を防ぐ事で徒歩での体力の消耗を減少させるのがゲートルの役目です。従って足首では血液が降下しすぎないように耐Gスーツのようにきつく巻きます。しかし三周目位から巻きを緩めて血流の阻害は極力避けます。そしてこれが最も重要ですが、ずり落ちないように最後はきちっと締めていきます。この匙加減が難しく、ゲートルの品質にも左右されます。
_3_1_4

ふくらはぎの下部から足のカーブが変わるのでゲートルを折り返します。これがミソ。
ゲートルの巻き方を初めて知る人はこれがカルチャーショックみたいです。これを2回繰り返します。

_5_6_1

写真左は2回目の折り返し。右の写真はその後の様子です。ふくらはぎは極力ゆるく巻きたい所ですがここで一つ問題があります。
ゲートルはラシャ(ビリヤード台の緑の床と同じ)製ですが戦争末期の品はつるつるで滑りやすく、相当きつく巻かないとずり落ちてしまうのです。それでもきちっと巻かないと上官に怒られるのでかなりきつく巻く羽目になります。そうすると足の血流を阻害し余計に疲れます。質の悪いゲートルを与えられた兵隊にはゲートルは拷問でしかありませんでした。
_7一応折り返し部分(たけのこ模様)のアップです。

パカ山のゲートルは上質なのでずれにくいです。そのためついつい緩く巻いてしまいます。
高校の頃は40キロ以上を歩ききって全くずれませんでした。ニューギニアで戦った兵隊さんの直伝ですから気合入れて巻いてます。

_8_9写真左が「営内巻き」で右側が「戦闘巻き」です。
戦場においては戦闘巻きでした。

この写真ではゲートルの終端がひざの左下ですが、これは制裁の対象です。
靴を履いた自分の足の太さとゲートルの長さをキチンと把握して終端が外側に来るように練習しておきましょう。  

 

Photo_154改めて巻きなおしました。
右足の外側にゲートルの終端(三角になってますよね)がみえると思います。これが正式です。
ヒモについては適当に巻きます。ほどけなければよいそうです。実際には前線に出れば正直ゲートルの巻き方なんぞそんなにうるさくなく、左右とも右回りに巻いたりやり易いようにやってたそうです。ただほどけてしまうのは問題で、そこはうるさかったようです。戦闘中に枝に引っ掛けると命に関わりますし、逆に言うと新兵はよくほどけてたってことでしょうか。

はい、いかがでしたか、100回記念「ゲートルの巻き方」。

自分で巻きながら写真を撮るのは大変でした。

でもこの記事を100回記念にしたのは、パカ山といえば「銃剣」と「ゲートル」かなと思った事と、このブログに「ゲートル」をキーワードに検索して来てくださる方が意外に多かったことがあります。このブログがそういう人たちのホビーライフに潤いを与えられたら幸いであります。そのうち鉄帽のヒモの結び方とかもやろうかな?

それではまたまた。

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コメント

100回目、おめでとうございます。これからも、楽しみにしています。しかし、ゲートルを巻くのもいろいろなコツとか、工夫がなされているのですね。現在では、先人の方々の努力のおかげでいろいろな便利なものが溢れていますよね。今回のゲートルのように愛好者の方々が伝承している知識が沢山あるのでしょう。そんなことをふと思い、楽しくなってきました。ぜんぜん興味も無かった事柄で、知識が増えたこと。いろいろな価値観を見出せること。そういう体験ができて嬉しいです。パカ山さん、頑張ってください。

投稿: おおざる | 2006年11月13日 (月) 13時54分

はじめましてこんばんわ☆
会社に内緒でたくらむブログを運営しています
ふみっこと申します(*^ー^)
ブログというものをやってみてふみっこも
本日100記事に達することができました♪
ネタとか色々苦労しますがお互いがんばりましょー(^-^)V

投稿: ふみっこ@会社に内緒でたくらむブログ | 2006年11月13日 (月) 20時04分

おおざるさん、どもです。
「伝承」ってすごく重たい言葉に感じます。
世の中に「不必要」とされ失われていく技術の何と多い事か。例えば造船の世界では「船台大工」という仕事もそういう類ですし、もっと昔なら「鉄砲鍛冶」とか枚挙にいとまなしです。だけどそんなものに興味を持って調べまくっている人たちが確実に存在している事も事実。そしておおざるさんのように新しく興味を持って楽しんで下さる方もいたりします。そんな人たちの抱く「楽しさ」に関われる事を幸福に思います。
これからもある意味頑張らずに、面白おかしくこの「ブログという趣味」を続けたいと思います。
 
ふみっこさんはじめまして!
ブログも先程覗かせて頂きました。ほっとする文体に癒されます。まだ一部しか見てませんけど宜しくお願いします。

投稿: パカ山 | 2006年11月14日 (火) 01時06分

初めまして、大阪のS.M.と申します。

先ほど、77歳の母と昔話に花が咲きまして、その中で「脚絆」の話題が出ました。
子供のころ、兄や父のために脚絆を巻いて準備していたらしいです。それを見て自分も巻いてみたいと思っていたそうです。

その流れで、どういう巻き方だったのかを実演してくれ興味を持ったので、その画像がウェブに掲載されていないかと探したところ、貴サイトの記事にたどり着きました。

母は、まさしくこの通りだったと目を輝かせて喜んでおりました。折り返す回数がもっとあったような気もしたらしいですが、とにかく、よもや脚絆を巻きつける画像を見れるとは思ってもおらず、いたく感激していました。

場違いなコメントだとは思いますが、感謝の意を込めて投稿させていただきました。

投稿: S.M. | 2010年6月 8日 (火) 23時37分

S.M. 様
コメントをお寄せ下さいましてありがとうございました。
思いもよらず拙記事がお役にたった事は、当方に於きましてもまさに望外の喜びです。
 
「折り返しの回数」については、軍の標準ではないのかも知れませんが、拙記事中でご紹介した以外の巻き方もあった様です。私も足の外側で何度も折り返す巻き方を見た事があります。
 
S.M.様とお母上様の今後益々のご健康をお祈り申し上げます。
 

投稿: パカ山 | 2010年6月10日 (木) 18時36分

はじめまして、滋賀の澤です。 昨日地元の春祭りが終わり今年の豊年満作を祈願したところです。さて春祭りには、若い衆による松明、御神輿と鐘・太鼓で地域を練り歩くのが若い衆の役です。私の息子も参加していますが代々引き継いできた脚絆(ゲートル)をお酒の飲みすぎで無くしてしまったようです、今後も祭りには欠かせない物なので何処かで販売されている所があれば紹介していただけませんか。巻き方については、従来私が蒔いていたのと同じでした。ひねり回数は、長さに応じて2回~3回としていました。宜しくお願い致します。

投稿: 澤 | 2011年4月 4日 (月) 12時42分

澤様
はじめまして。
コメントをありがとうございます。
 
件のゲートルについてご紹介させて頂きます。
 
まずは上野御徒町(アメ横)の中田商店が有名ですね。
手頃な価格のレプリカが数年前から登場しました。
恐らく一番安価です。おすすめです。
http://www.nakatashoten.com/indexmenu.html
商品番号は「N-537-A」、「N-537-B」です。
 
続いては福島郡山のTHE兵舎さんも古くから実物ゲートルを扱っていらっしゃいます。
http://www.heisha.jp/
ホームページでは出ていませんのでお問い合わせになってはいかがでしょうか。
私はTHE兵舎さんで80年代と90年代で二度購入しています。大変良い品でした。
 
他にもミリタリー関連のショップでは実物の取扱も多いです。
ヤフオクでも見る事が多くなりました。
一般にミリタリーショップでは非常に高価で、オクでは品質が悪いです。
 
このような感じですが、お役に立てば幸いです。
 

投稿: パカ山 | 2011年4月 7日 (木) 00時13分

ラシャはビリヤードに張られているのと同じなんですか。あれ、どう見ても織っていないフェルトに見えるんですけど。
正確な所教えて下さい。

投稿: ゲートル初心者 | 2011年7月18日 (月) 23時08分

ゲートル初心者さん、記事に書いてある通りです。
そもそもビリヤード台にフェルトじゃもちません。
きちんと織った一枚布を張って作るので張り替えるとメチャ高いです。マッセとかには座布団敷くのがマナーです。

一般にウールは着込むとテカりますよね?
しかしラシャは大きく起毛しているのでかなりのプレスをしない限りテカらないし潰れません。

それとゲートルの記事でビリヤードの質問は勘弁して下さいね(笑)。

投稿: パカ山 | 2011年7月22日 (金) 02時24分

ゲートルの巻き方、参考になりました。ひとつ質問させて下さい。巻終わりの際、使用するひもは単独なのでしょうか。あるいはズボンについているものなのでしょうか。
お教えいただけますでしょうか。

投稿: いいだ | 2012年4月 4日 (水) 12時06分

いいだ様
 
コメントありがとうございました。
詳細の分かりにくい内容ですいませんでした。
紐について追加記事を載せましたのでそちらをご覧下さい。

投稿: パカ山 | 2012年4月18日 (水) 17時57分

ゲートルについてよく調べてあるなと思いました。私は毎年四月のお祭りで郷土芸能の衣装でゲートをまく役どころがあり毎年誰かが今でも高校生になると付けて踊りまわれます。なので身近にあります。折り返しについては脚の形で回数が決まります。牛蒡の様なふくらはぎが張っていない脚はあまり折り返す必要がありませんがタケノコのようにふくらはぎが張って三角形の様な脚は脚にフィットさせるため何回も折り返す必要があります。これの手を抜くとすぐにずり落ちて来てしまいます。
軍隊で無くてもずり落ちると地域の長老に巻き方が悪いとよく怒られました。
 

投稿: きんちゃん | 2012年5月17日 (木) 15時17分

きんちゃんさん、恐れ入ります。
これからも文化の継承に頑張って下さい。

投稿: パカ山 | 2012年5月18日 (金) 12時43分

始めまして。興味深く拝読しました。
巻脚絆は編上靴の上に巻くと特記されたのは良いことです。そうでないと砂などが入ります。編上靴の内に巻くのはタケノコ巻と言って有り得ないことでした。
私は中学に入ったときに購入しましたが、軍のものとは違って綿製でした。紐は始めのうちは巻終わった上に何回かずれないように巻きましたが、写真のようなX型に巻くようになったのは多分昭和17か8年頃からだったでしょう。それまでは匍匐前進で緩み、ほどけやすかったのがこのように巻くと緩んでもほどけることがなくなり、安心して教練ができました。
ここで一つ写真の残念なことがあります。脚絆を巻くところが写されていますが、脚絆がこれでは裏返しになっています。それと、きつく巻くにはほどいた後にしっかりと巻いておかないと上手に脚に巻けません。これにはコツがありました。紐を脚絆の幅に折りたたんで、それに脚絆を一巻きしっかりとまき付けます。それからは、机や地面の平らなところに巻いたところを向こうに置いて巻終わりの方を手前に置きます。一巻きしたところを手のひらでしっかり押さえて向こうに向けて力を入れながら、手前に巻いていくのです。こうすると脚絆はしっかりと巻けます。

投稿: VC | 2012年6月 9日 (土) 09時00分

VCさんコメントありがとうございます。
色々な「技」があるもんなんですね。
戦後生まれの私には「知らない事すら知らない」という事が多いなぁとよく思います。

投稿: パカ山 | 2012年6月12日 (火) 08時58分

 有難うございました。
こちらのサイトで、ゲートルというものを理解できました。

 私ごとで申し訳ないのですが、日本統治時代の台湾で教育を受け、日本語を話す「日本語族」と呼ばれる方々が書かれた本を読む機会がありました。
その中で、「兵隊と言えば(日本兵しか知らず、)兵隊というのはゲートルを巻いてピシッとしている。」という記述が出てきます。その前後には、終戦後やって来ただらしないシナ兵との比較が書かれています。

 それで、”ゲートル”というものがどういう物なのかという事も含めて解りませんでした。ウェブ辞書やWikipediaを観ても全く理解できずにいたのですが、こちらのサイトでどういう物なのか、ようやく理解できました。
「百聞は一見にしかず」という諺があるように説明文と巻き方を順を追って写真を載せて下さった事が理解に繋がりました。

 感謝を申し上げると共に他のコメントをなさっている方々とは的外れなコメントをしてしまって申し訳ありません。

投稿: | 2012年7月 4日 (水) 23時46分

初めまして、高校生の演劇部員です。

僕は広島に住んでいて、8月6日原爆をテーマにした劇を平和公園のフェニックスホールという所でします。
明日ですね(笑

その時の再現みたいな感じで劇をします。
格好もその時のもので男役をする子が数人、みんなゲートルを巻く予定です。
ゲートルの巻き方で調べたらこちらのサイトが最初に出てきたので拝見させて頂きました^^

すごく分かりやすい説明でとても助かりました。
ありがとうございます^^
ちゃんとしたゲートルの素材が使えないのでそこは残念ですが、巻き方さえ真似できれば十分です(`・ω・)

本当にありがとうございます^^

投稿: | 2012年8月 6日 (月) 00時40分

演劇部員様、コメントありがとうございます。
広島長崎の「NO MORE」の精神は、断罪でも復讐でもないもっと強い覚悟だと思います。公演の成功をお祈りしています。

私も愛知から黙祷を捧げようと思います。

投稿: パカ山 | 2012年8月 6日 (月) 01時14分

ゲートルについての記事を拝見しました。
高校生の頃に一昨年亡くなった伯父から聞いた話をご紹介します。
当時、確か上野で買ってきたゲートルの巻き方を近衛兵であった伯父に伺ったところ、ゲートルの端(紐の始まり)は、必ず袴の外側縫い目に合わせなければならないとの事でした。既に指摘している方が居たかわかりませんが、重複していたら失礼します。
実際に伯父が実践したところ、初めて巻くゲートルなのに、正にピッタリ縫い目に合っていました。近衛兵だからこそ厳格だったのか真意のほどは判りませんが、戦後30年以上経過しての事でしたので、驚きました。
ご参考まで。

投稿: JIN | 2012年11月 1日 (木) 07時18分

JIN様、今頃の返信で大変失礼致します。
貴重なお話をありがとうございました。
私にゲートルの巻き方を教えてくださった方々もみなさん故人となってしまいました。
もはや不必要な知識なのかもしれませんが、何かしら後世に伝えられたらいいですよね。

「遠すぎた橋」という映画の台詞で「今度の作戦は孫に話せるぞ、・・・退屈されるがね(笑)」というのがありまして、私はこの台詞が大好きです。
娘と息子、そしてまだ見ぬ孫にいろいろ退屈な話をしてやりたいと思ってます。

投稿: パカ山 | 2013年6月 8日 (土) 10時19分

ゲートルの巻き方見させてもらいました!大変参考になります。たまたま祖父、祖母の家で巻いていたのですが祖父がゲートルを見ると「これは陸さんのやな」とすぐに言い当ててました。祖父は元々飛行予備学生で海軍に入隊して戦争末期だったので航空機の訓練より陸戦の訓練が主だったみたいで懐かしがっていました。
あと少し質問なのですが戦闘巻きの時の端末の処理はどのようにされているのでしょうか?

投稿: へっぽこ丸 | 2014年5月 8日 (木) 21時41分

へっぽこ丸様
コメントありがとうございます。
戦闘巻きでの端末の処理ですが、正式なものは私は知りません。
記事で紹介している巻き方はニューギニアで戦った元下士官の方(金鵄勲章所持者)から教わったのですが、ゲートル本体の巻きの強弱は細かく指導してくれたのですが、こと紐については「ほどけない様に適当に」とあっさりでした。曖昧な答えですいません。

投稿: パカ山 | 2014年5月11日 (日) 04時48分

足の治療で弾性包帯を巻くように病院で云われ、何時も上手く出来ませんでしたが、昔祖母がゲートルの事を話していたのを思い出し探していた所このブログを見つけました。
皆さんとはちょっと違うかも知れませんが、とても参考に成りました。有難う御座いました。

投稿: はっちゃんママ | 2015年1月12日 (月) 00時16分

はっちゃんママ様
コメントありがとうございます。
どのような形であれ何かのお役に立てたのでしたら幸いです。
早く良くなりますように。

投稿: パカ山 | 2015年1月13日 (火) 12時33分

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